私たちの周りでは、テレビや情報誌を通じ、毎日のように健康に関する情報が発信されていますが、科学的根拠に乏しいものも数多く含まれています。
砂糖についても、「砂糖の摂取は健康上の害をもたらす」との俗説が流布され、健康に関わる砂糖への誤解を助長しているものもあったりします。
今日は、砂糖についてを少し解説させていただきます。
お砂糖の最大のメリットは、なんといっても食事における調理性。
伝統的日本の味、おいしさ、見た目の美しさを保ちながら、
上手に砂糖を利用してみてください。
①防腐効果力
カビや細菌などの微生物は、水がないと増殖できません。ジャムや羊羹などのような砂糖をたくさん使った食品が腐りにくいのは、砂糖が食品の水分をかかえこみ、微生物がその水分を利用しにくくなるからです。
②やわらか力
ビーフシチューやカレーなどの肉料理の下ごしらえの際に、肉にあらかじめ砂糖を揉み込んでおくと、肉が柔らかくなります。それは、砂糖の「水に溶けやすく水と結びつきやすい」という性質によるものです。肉の組織の間に入り込んだ砂糖が水分をひきつけ、タンパク質の1種「コラーゲン」と結びつくのを助けるのです。
③泡立ちの保持力
メレンゲやホイップクリーム、アイスクリーム。マシュマロなどは、卵白を泡立てて、その泡を固定して作ります。その際に砂糖をたっぷり入れると、泡を形成する卵白のタンパク質の水分を砂糖がかかえ込み。泡が安定するので、泡立ちがよくなり、泡同士のくっつきを抑えてきめ細かな状態を保つことができます。
④醗酵促進力
パンをつくる際には、酵母(イースト)を使います。それは、糖質の発酵によってできる炭酸ガスで生地を膨らませるためです。酵母(イースト)は糖質を栄養にして発酵し、炭酸ガスとアルコールを生成します。この炭酸ガスを小麦粉がとじこめてパンが膨らむのです。
しかし、小麦粉には酵母が利用できる糖質が少ないので、発酵源としては不十分です。
そこで、砂糖を加えると酵母の働きが活発になり、それによって発生する炭酸ガスで生地がほどよく膨らみ、ふっくらと仕上がります。
また、シャンペンは、まずぶどう果汁を発酵さぜて、ぷどう酒を作ってビン詰めにし、さらに二次発酵して発泡性を持たせますが、この時に砂糖を加えると酵母の働きが再び活発になり、炭酸ガスの発生により開栓時に快音が出るようになります。
⑤食品の造形力
調理や食品加工の際に砂糖を加えることにより、食感や形態など、その食品の物性を変えることかできます。これを砂糖の造形性効果と呼んでいます。
例えば、小麦粉の生地は練り込まれた砂糖の比率によって、生地の硬さや粘りが決まります。一方、砂糖液は煮詰める温度によって物性が変わるので、組み合わせた材料は同じでも、全く違う食感を持つ食品となります。
菓子類をつくる際は、この効果を大いに利用します。スポンジケーキでは、気泡を安定させ一定の体積に保つことができますし、マシュマロやアイスクリーム、ヌガーなどのように気泡を収り込みボリュームを出すこともできるのです。
⑥デンプンの老化防止力
砂糖には、デンプンをしっとりと、やわらかく保つ働きがあります。デンプンは、加熱加工をすると糊化状態になり、それを放置すると粘り気が低くなり、透明度がなくなります。このような変化を老化と呼んでいます。ご飯や餅などを放置すると、次第に粘りを失い固くなってしまいますが、これは老化によるものです。
ところが、糊化状態のデンプンに砂糖を加えると、砂糖の親水性によってデンプン分子のすき間から水を奪い、糊化状態を保つことができます。餡や羊蕎、餅菓子、すし飯などか固くならないのは、このためです。砂糖には、ご飯やパン、餅などのデンプン食品をしっとりとおいしく保つ働きがあるのです。
⑦タンパク質の熱凝固改善力
タンパク質は、加熱により固まりやすい性質があります。卵の白身が加熱により白く固まる現象が代表的ですか、この現象を熱凝固改善力といいます。砂糖には、このタンパク質の熱凝固を左右する力があります。例えば、卵液に砂糖を加えると凝固温度は上昇し、固まりにくくなります。カスタードブリンなどをつくる際も、砂糖を加えることで卵や牛乳の凝国温度が高くなり、よりやわらかでなめらかになります。
<参考:独立行政法人農畜産業振興機構>
食べることはバランスが大切です。
お砂糖に限らず、脂肪や塩分など神経質に忌避するあまり、
それがストレスになっては逆に健康を害します。
バランスのよい食事を摂って、適度な運動をして、
ストレスの少ない生活をおくれば、健康は守られると思います。
次回は、お砂糖についてさらに詳しい内容をご案内いたします。
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